「就活のESで研究概要の提出を求められた」と言われるのは理系の就活では珍しいことではありません。
ただ、いざ提出を求められるとどうしたらいいのか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
ESの研究概要の内容や書き方などポイントをしっかりと抑えておくことで、就活をスムーズに進めることができます。
就活生の無料相談支援を行っている「JOBマッチ」を担当している私がこの記事を担当し、就活の研究概要について詳しく解説します。最後まで読んで、研究概要作りの参考にしてください。
理系学生が就活で求められるESの研究概要とは?
そもそも就活の研究概要とは、自身が取り組んだ研究の取り組みや結果をまとめたものをいいます。
新卒の理系学部生や修士生などが、技術系を希望する際に提出を求められる資料です。論文をイメージすると分かりやすいかもしれません。
ここでは、就活で求められるESの研究概要の内容について詳しく解説します。
タイトル
タイトルは読んだだけで内容が想像できそうなものがおすすめです。専門用語を使用した場合、必ずその専門用語の解説は入れるようにしましょう。
学会発表や参考文献で使用しているタイトルをそのまま用いるのはNGです。この場合、専門性の高いタイトルが多く、読み手の興味を失ってしまう恐れがあります。
読みやすさを重視するなら、あえてキャッチーなタイトルにするのも面白いかもしれません。
研究背景
研究背景は自分がどうしてその研究を行ったのかをまとめたものです。理由だけではなく、研究の意義や目的も盛り込んでまとめましょう。
研究のテーマについては、初心者でも分かるよう例えを分かりやすくしたり、詳しく解説を交えるのがポイントとなります。
研究内容
研究概要のメインとなる部分です。研究方法のみを解説するのではなく、どうしてその方法を選んだのか既存の方法との比較などを交えると、より密度の濃い研究概要に仕上がります。
企業が見ているのは研究内容の完璧さよりも、「何を考えながら研究に取り組んだのか」です。
仕事でも言われたことだけをやる人材より、考えながら動いてくれる人材を必要としているからです。
課題及び解決策
研究の中で生じた課題や解説策もきちんと記載しましょう。問題が一切生じず、滞りなく進められる研究などありません。
課題を書くのは却ってマイナスではと思うかもしれませんが、企業は考えられる課題にどう向き合うかをチェックしています。
「ピンチは最大のチャンス」という言葉があるように、課題は自分の魅力をアピールする機会と捉え、積極的に課題に向き合いましょう。
研究結果
研究概要の研究結果では実際にどのような結果や成果が得られたかを明確にまとめます。具体的な数値や図、グラフなどを用いることで見やすくなります。
また、研究結果における考察は別の欄で設けるようにしましょう。研究概要の結果はあくまでも事実となる結果のみを記載します。
個人的な解釈や考察は混同させずに分けること、さらに就活を有利に進めたいからといって嘘の結果を報告しないようにすることがポイントです。
希望する企業や職種でどう活かせるか
今後の展望や学んだこと、考察などを踏まえて、最後は希望する企業や職種でどう活かせるか、まとめの文章を作りましょう。
研究概要と募集職種が一致する場合、研究概要の内容次第では即戦力として歓迎されることがあります。
とはいえ、無理に募集職種と研究内容を結びつける必要はありません。
募集職種と研究内容が一致しない場合は、研究内容から人となりや対応力などを見て採用を判断します。
理系就活で企業が求める理由は?
ESで研究概要を企業が求めるのには理由があります。研究概要の内容から就活生の人となりを読み取り、採用の判断材料としているのです。
ここでは就活のESで研究概要を企業が求める3つの理由を解説します。
面接での質問に使うから
企業はESの研究概要を使って面接を行います。研究概要はその学生がどんな学生時代を過ごしてきたかを反映しているといっても過言ではありません。
そのため、面接でどんなことを聞かれるかを質問例を想定しておく必要があります。
- 「課題にどう対処しましたか?」
- 「この研究で工夫した点はどこですか?」
- 「この研究の結果がどう活かせると思いますか?」
このような質問に備えておきましょう。
就活生のコミュニケーション力を見たいから
就活の研究概要ではコミュニケーション力も見られています。
どれだけ知識をインプットしているかだけではなく、それを読み手に伝えるアウトプットができているかも重要なポイントです。
研究概要を見るのは専門分野の人とは限りません。人事など専門外の人が見るケースもあります。
このような専門外の人にどう分かりやすく伝えるか、物事を分かりやすくまとめてあるかも採用の判断材料となります。
対応力をチェックしたいから
研究概要からどう課題に向き合ったかもチェックされています。すべての研究が最後までスムーズに進むより、課題への対応力を重視しています。
社会に出れば困難なことが多く、それに対してどう対応できるかを判断したいからです。
課題に対してどう対応したのか、そこから何を学んだのかをまとめておくと良いでしょう。
就活の研究概要の書き方について
ESでの研究概要の書き方は企業によってさまざまです。
特に規定を設けずに自由に書いて良いとしている企業と、A4やA3で1~2枚以内など書き方の基準を設けているところもあります。
ここからは就活の研究概要の書き方で多く用いられている書式を紹介します。
ESタイプでまとめる
まずはESのように文章だけでまとめる形式です。
この場合、MicrosoftWordを使うのが一般的でしょう。文字数を200字や400字としている場合はその指示に従う必要があります。
文字数制限がある場合、文字数を超えたり不足したりしないよう注意が必要です。
パワポでまとめる
パワポを使って研究概要を作るケースもあります。ECタイプと異なり、文章の他に図や画像を用いて分かりやすくまとめます。
パワポの場合、「スライド〇枚分を〇分でプレゼンしてください」と指定されることも。そのため、1枚にどんな内容を盛り込み、何分で説明するかといった時間配分がポイントです。
研究概要のまとめ方のポイントについて
就活の研究概要では、企業から高く評価されるものを提出するのが大切です。とはいえ、どんな点に気を付ければいいのか迷ってしまう人も多いでしょう。
研究概要を作成する際は1枚のポスターをイメージしたり、専門用語を使い過ぎないなど、抑えておきたいポイントがいくつかあります。
ここでは研究概要のポイントとなる注意点を解説するので参考にしてみてください。
1枚のポスターをイメージする
まずは完成後のイメージを明確にしておきましょう。1枚のポスターをイメージすると構成を組み立てやすくなります。
タイトルを一番上に、その下に研究概要や背景、研究内容や結果は目につく真ん中に。画像や図はメリハリを意識して配置するのがポイントです。
専門用語を多用しない
研究概要を作る際にありがちなのが専門用語を多用してしまうことです。研究概要は学んだことをただお披露目するのが目的ではありません。
インプットした情報を読み手に分かりやすくアウトプットできているか、研究内容を社会でどう活かせるといった、就活生の人となりを判断しているのです。
つまり、ここでは専門用語を多用しても意味はありません。研究概要を通じて「自分はこんな人です」というのを分かってもらえるようにまとめましょう。
大学や大学院内で使っている専門用語は、社会では知らない人がほとんどです。そのため、文系の友人や家族など、専門外の人に一度添削してもらうのも得策です。
文体を統一させる
文体を統一させるのも大事なポイントです。企業から指定がある場合は、もちろんそれに従いますが、指定がない場合は「ですます」「だ・である」のどちらを用いても構いません。
文体を統一させないと不自然な印象を与えてしまいますし、基本的なビジネスマナーが身についていないとみなされてしまいます。
また、同様の理由から文字の大きさやフォントも統一させましょう。
質問に答えられるようにしておく
先述したように、企業はESの研究概要を使って面接で質問をしてきます。作成した段階で想定される質問を考えて準備しておきましょう。
- 「研究で学んだことを社会でどう活かしますか?」
- 「この研究を長期で見たときの展望を教えてください」
このような質問に冷静に対応できるのがポイントです。面接官は就活生の対応力も常にチェックしています。
まとめ
就活の研究概要は、理系学部生や大学院生が技術職を希望する際に、必ずと言っていいほど提出を求められる書類です。
研究概要で大切なのは読み手のことを考えて作成すること。それと研究概要と通じて自分の良さをアピールすることです。
読み手の気持ちを考えて作成することで「優しそうな人だ」「熱意をもって作ってくれた」と、面接官にプラスに働きます。
理系の大きなメリットは研究を通じて深い学びを得られることです。ここまで学んできたことを無駄にしないよう、研究概要を使って就活に挑みましょう。