就活を進める上で大事な指針となるのが、実際に働いている人の実態を知ること。そんな貴重な機会を得られるのが、OB訪問です。
しかし、OB訪問をしたくてもやり方が分からず、中々踏み出すことができない人も多いのではないでしょうか。
今回は、就活の無料相談支援を行なっている「JOBマッチ」を担当する私が、OB訪問のメリットや、有効活用する方法について解説していきます。就活におけるOB訪問の目的を明確にし、就活を有利に進めましょう。
そもそも就活のOB訪問って何?
まずは就活のOB訪問について理解を深めましょう。きっとあなたにとって就活の未来を切り開く鍵となります。
OB訪問とは
就活のOB・OG訪問とは、社会人の働き方やリアルな企業実態を理解するために、自分の志望企業や興味のある業界の先輩(OB・OG)の元を訪ねることです。
実際の業務内容や、説明会やコーポレートサイトだけでは分かりにくい給与、福利厚生などについても教えてもらうことで、業界研究や企業研究に役立てることができます。
OB訪問をすることで自身のキャリアプランの形成に役立つので、就活においてOB訪問をすることは大きな手がかりとなります。
適した時期
就活におけるOB・OG訪問のベストな時期は大学3年11月〜2月です。
大学3年の11月より前の時期は、前年度の新卒採用を行なっている企業もあり、10月1日には前年度に内定した就活生の内定式が行われています。
そのため、次の新卒採用に向けて企業が動き出すのは一般的に11月と言われています。その後、大学3年の3月1日には就活解禁が行われ、大半の企業がエントリーを受け付け、選考が開始します。
そのため、早過ぎず遅過ぎない時期を考慮すると、大学3年の11月〜2月がOB訪問のベストシーズンと言えるでしょう。
OB訪問が必要な業種
就活のOB訪問は入社への熱意と捉えられることもあるので、選考が有利に進むこともあります。
特に商社や広告業界、銀行、保険業界の人気の企業はOB訪問の有無が選考の際に聞かれる場合があるので、少なくとも5人以上はOB訪問を受けると良いでしょう。
知らないと損するOB訪問のメリット
OB訪問は就活に役立つと知っていても、具体的にどのようなメリットがあるのか把握していますか?以下ではOB訪問を行うメリットについて解説していきます。
- 現場のリアルな声を聞ける
- キャリアプランの形成に役立つ
- 志望動機に磨きがかかる
- 就活のアドバイスをもらえる
現場のリアルな声を聞ける
先ほどもお伝えした通り、OB訪問は実際の現場で働く人のリアルな声を聞いたり、実務内容以外の職場の雰囲気や環境についても教えてもらえたりします。
そのため、OB訪問は就活において自分に合う業界・企業なのかどうかを考える判断材料となります。
その企業で働く社員にしか分からない情報を得ることができるので、就活の企業研究を深め、「志望企業ではあるが、働き方はどうなんだろう」といった不安の解消にも繋がりますね。
キャリアプランの形成に役立つ
OB訪問を通じて、先輩社員のキャリアパスや成長ポイント、スキルの磨き方を把握することができるので、自分が理想とするキャリアプランを検討する際の重要な情報となります。
また、企業の将来展望やビジョンを知ることができるので、企業の成長と共に、どのように自己成長をしていくのかを考えられるのもメリットの一つです。
志望動機に磨きがかかる
OB・OG訪問を通じて企業や業界に関する具体的でリアルな情報を得ることができるので、就活で志望動機などを書く際の根拠やエピソードとして活かすことができるでしょう。
また、OB・OG訪問によって得た企業の特徴を自分の価値観に結びつけることができると、なぜ自分がこの企業にマッチするのかを具体的に表現できるようになります。
就活のOB・OG訪問を通じて企業のリアルに触れることによって、志望動機の根拠となり、他の就活生と差別化することができるのです。
就活のアドバイスをもらえる
OB・OG訪問をすることで、実際にその業界で働いている先輩から就活のアドバイスをもらうことができます。
就活で同じ道を目指した経験のある先輩はとても参考になるでしょう。余裕があれば志望動機や自己PRを添削してもらうのも得策です。
就活のOB訪問の流れを理解しよう!
ここからは就活のOB・OG訪問の一連の流れを解説します。
訪問前から訪問後までマナーを守って対応しなければ失礼に当たってしまい、選考に影響が出かねません。十分に流れを理解した上でOB・OG訪問に取り組みましょう。
OB訪問の流れ①訪問先を探そう
OB訪問先の探し方は以下の通りです。必要性に応じて自分に合うものを選んでみましょう。
OB・OG訪問向けのアプリ
最近では、Matcherやビズリーチキャンパスといった、OB・OG訪問向けのアプリが出ています。これらはOB・OG訪問の受け入れを前提として先輩方が登録をしているので、比較的聞きやすい手段です。
アプリ上でメッセージのやり取りができ、アポ取りや訪問後のやり取りがしやすいのが利点です。志望先の企業に勤める人を探せるので、就活をより有利に進められるでしょう。
大学の先輩や知人
大学のゼミやサークルに所属している人は、身近な先輩で興味のある企業で働いている人がいれば、OB・OG訪問ができないか連絡を取ってみましょう。
身近な人であれば踏み込んだ質問がしやすいという利点があります。
また、知り合いの知り合いなどといったところから、コミュニティを広げていくと良いでしょう。志望する企業のOB・OGに出会うかもしれませんね。
大学のキャリアセンター
知り合いの先輩などがいない場合、大学のキャリアセンターを利用してみましょう。
過去の先輩方が連絡先を登録していた場合、OB・OG訪問をすることができます。必ずしも志望先の企業のOBが見つかるわけではないので注意が必要です。
キャリアセンターでは比較的幅広くアプローチすることができるので、ゼミやサークルに所属していない人にもおすすめです。
企業のホームページ
企業のHPや採用サイトの問い合わせフォームから直接OB・OG訪問のアポイントメントを取るのも一つの手段です。
依頼者が多いと想定できる大企業や人気の企業は断られてしまうかもしれませんが、受け入れてくれる企業もいくつかあります。
直接アポを取る場合には、必ず採用サイトでOB・OG訪問を実施しているかをチェックした上で連絡を取りましょう。
OB訪問の流れ②依頼メールを送ろう
OB訪問先が見つかったら、企業訪問の旨のアポイントメントを取るために、依頼メールを送ります。メールを送る際にはビジネスマナーに注意しましょう。
以下ではメールに盛り込むべき内容とマナー、例文について紹介します。
依頼メールのテンプレ
件名:「OB訪問のお願い(〇〇大学・山田太郎)」
本文:
株式会社 〇〇コーポレーション
△△部 ◆◆課
〇〇〇〇様
初めてメールをお送りいたします。
〇〇大学◇◇学部●●学科の山田太郎と申します。
本日は、大学のキャリアセンターで〇〇様のことを知り、OB訪問のお願いでご連絡を差し上げました。
現在就職活動中で、社会のインフラに関わる仕事に興味・関心を持っており、貴社が開発に携わったこれまでの多くの事業に大変惹かれております。
ぜひ〇〇様にお話しを伺いたく、メールをお送りした次第です。
ご多忙中とは存じますが、お時間をいただけるようでしたら、
再来週までの月曜日か水曜日で〇〇様のご都合の良い日時をお知らせいただけませんでしょうか。
上記でご調整が難しい場合には、お手数ですが、
〇〇様のご希望の日程を2〜3候補日としてお知らせいただけますでしょうか。
メールでの突然のお願いで大変恐縮ですが、
何卒、よろしくお願い申し上げます。
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山田太郎
〇〇大学◇◇学部●●学科
yamada.taro@mm.ne.jp
012-345-678
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OB訪問の流れ③質問リストを準備しよう
就活のOB訪問の目安は約1時間です。その中で詰まることなく質問をし、有意義な時間が過ごせるように、事前に質問したいことをまとめておきましょう。
以下の記事ではOB訪問で使える質問例文を紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
OB訪問の流れ③当日はビジネスマナーを守ろう
OB・OGは忙しい業務に追われながらも、合間を縫って私たちに時間を作ってくれています。失礼のないように、基本的なビジネスマナーに気をつけましょう。
- ES・履歴書
- 筆記具・ノート
- 事前に作成した質問リスト
- 企業に関する資料(説明会でもらったパンフレットなど)
就活のOB訪問の当日は、聞いた情報をメモできるように筆記具とノートは必ず用意しましょう。
ボイスレコーダーを使ったり、メモを取らず話を聞いているだけでは印象が悪く、せっかくの機会を無駄にしてしまいます。
服装は基本的にスーツ
就活のOB訪問の服装は、基本的にはスーツが好ましいです。シンプルなデザインで清潔感を意識しましょう。
私服指定の場合には、カジュアルすぎない格好を選んでください。ダボっとした服を選んでしまうと、だらしないと思われてしまう可能性もあるので、オフィスカジュアルを意識すると良いでしょう。
時間厳守
当然のことですが、遅刻は厳禁です。万が一トラブルで遅れてしまいそうな時は、すぐに連絡を入れましょう。
約束の時間の5〜10分前に待ち合わせ場所の周辺についているのが理想です。
あまり早く着いてしまっても、相手を急かしている印象になってしまうので、周辺のカフェやベンチで時間を潰して5分前になったら待ち合わせ場所に行くのが良いでしょう。
会社訪問の場合、約束の時間の5〜10分前に受付にOB訪問の旨を伝えましょう。OB・OGから指示がある場合には、事前に必ずチェックして従ってください。
挨拶を必ずする
OB・OGに会ったら必ず挨拶をして軽い自己紹介をしましょう。コミュニケーションの始まりは挨拶です。笑顔を意識して元気に接しましょう。
終わった後も、誠意を持ってお礼の言葉を述べます。忙しい中時間を割いて会ってくれていることを忘れず、最後までハキハキと話しましょう。
OB訪問の流れ④お礼メールを送ろう
就活のOB訪問はこれだけで終わりではありません。時間を作って作って会ってくれたという感謝の意を伝えるためにも、当日中にお礼メールを送りましょう。
内定報告などの選考結果の連絡も必ず行うのがマナーです。
お礼メールのテンプレ
件名:「OB訪問のお礼(〇〇大学・山田太郎)」
本文:
株式会社 〇〇コーポレーション
△△部 ◆◆課
〇〇〇〇様
お世話になっております。
本日、OB訪問でうかがいました
〇〇大学◇◇学部●●学科の山田太郎と申します。
本日はお忙しい中、貴重なお時間を頂き、
誠にありがとうございました。
〇〇様からお聞きしたチームで動く仕事の面白さや難しさ、
言葉や文化の壁の乗り越え方など、
どれも新鮮な驚きでいっぱいでした。
資料だけでは知ることのできなかった世界を教えていただき、
一層△△業界への理解が深まりました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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山田太郎
〇〇大学◇◇学部●●学科
yamada.taro@mm.ne.jp
012-345-678
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就活でOB・OG訪問をする際のポイント
就活のOB・OG訪問ではビジネスマナーのほか、注意すべきポイントがいくつかあります。貴重な機会を無駄にしないためにも、以下を読んでしっかりと理解しましょう。
一方的な質問攻めは避ける
就活のOB訪問は大前提として「OB・OGと会話すること」を意識してください。
一方的に聞きたいことばかり話してしまうと、OBも質問攻めにうんざりしてしまいます。
相手に気持ちよく話してもらうためにも場の雰囲気作りが大切です。
相槌を打ったり、OBの回答に対しての感想を述べたりすることで、会話のキャッチボールができ、和気藹々とした雰囲気になるでしょう。
事前にしっかりと質問を準備しよう
当日質問することがなくなってしまったり、調べればわかることを聞いたりすることは絶対に避けてください。
就活のOB訪問を意味あるものにするためにも、事前に質問リストを作り、聞くことをあらかじめ用意しておきましょう。
当日は緊張で質問を忘れてしまったり、大切なことを聞きそびれたりしてしまうかもしれません。先ほど紹介した記事を参考に質問を考え、優先順位をつけてノートなどに書き留めておくと良いですね。
ビジネスマナーを徹底する
就活のOB訪問では失礼のないようにビジネスマナーをしっかり守りましょう。
ただ、完璧にこなそうとすると却ってうまくいかないこともあるので、適度に肩の力を抜くことが大切です。
相手も学生ということを理解しているので、完璧なマナーを求めていません。最低限のマナーを守り、目上の人に対しての誠意を持つことを意識しましょう。
オンラインでOB訪問をする場合には、Web面接と同様のマナーです。
以下の記事では、Web面接のマナーや流れについて解説しているので、是非参考にしてみてください。
相手の繁忙期は避ける
アポイントメントや日程調整をする際には、事前に相手のスケジュールを確認し、繁忙期や大きなプロジェクトの期間を避けるよう心がけましょう。
特に業界や企業によっては、特定の時期が忙しいとされることがあります。以下の時期は業務で手一杯でスケジュールが詰まっている可能性があります。
- 年末年始、お盆などの長期休暇日
- 年度末、決算月
- クリスマスやお正月などのイベントの当日、前後の日
まとめ
就活のOB訪問は現場のリアルな声を聞けることから、具体的なキャリアプランを描くのに重要な手助けとなります。
また、OB訪問は実際に志望する業界や企業で働く社員さんと関わる大事な機会なので、より多くの人を訪問すると他の就活生と差別化できる志望動機などを書くことができるでしょう。
この記事で紹介したOB訪問の進め方をしっかりと理解して、就活を有利に進めましょう!