新卒向け就活では企業説明会や面接、座談会など、自己紹介をする場面が多くあります。
「自己紹介だから」と何でも話して良いわけではなく、就活では面接官に好印象を与える内容を1分程度で簡単に話せるようにまとめることがポイントです。
そのため、自己紹介の内容はその場で考えるのではなく、事前に伝えたいことを書き出して文章にしておきましょう。
本記事では、就活の面接での自己紹介にフォーカスして、就活における自己紹介について解説します。
就活で自己紹介をする目的や、自己紹介と自己PRの違いを解説したのちに、自己紹介に盛り込むべき要素と自己紹介のポイントを踏まえた例文を紹介します。
就活を控えている学生はもちろん、すでにいくつか面接を受けている学生も、自己紹介に磨きをかけるために例文などを参考にしてみてください。
就活で自己紹介をする目的とは
就活の面接時、事前にES(エントリーシート)や履歴書を送付しているにもかかわらず、なぜ自己紹介をするのでしょうか。また、自己紹介と自己PRの違いはどこにあるのでしょうか。
ここでは自己紹介の目的について解説します。目的を知ることで、話すべき内容を整理しやすくなったり、自己PRの内容と差別化できるため、まずは自己紹介の目的を把握しましょう。
コミュニケーションの雰囲気づくりをするため
就活の面接では就活生と面接官はほとんどの場合、初対面です。面接は初対面の就活生と面接官が初めてコミュニケーションをとる場と言えます。
そのため、面接官はまず就活生の雰囲気を掴み、会話のキャッチボールをするために、面接の最初に自己紹介を求めることが一般的です。
自己紹介はあくまでコミュニケーションのきっかけであることが多いので、自己紹介の内容に伝えたいことを盛り込みすぎないことがポイントです。
ESや履歴書からは読み取れない人柄を伝えるため
ESや履歴書から読み取れる情報は限られているため、面接官は自己紹介の際に就活生の表情や話し方などもよく見ています。
面接の自己紹介の時間は、就活生の第一印象が決まる時間と言っても過言ではありません。
就活生の雰囲気や話の内容から、「入社後に活躍してくれそう」「お客様にも良い印象を与えられそう」と面接官が感じると、就活生への興味が湧き、より就活生のことを深く知りたいと思ってもらえるでしょう。
自己PRとの違い
先ほど少し触れたとおり、就活時の自己紹介と自己PRは似ているようで異なるものです。
自己紹介の時間は限られているため、自己紹介で話すべき内容と自己PRで話すべき内容は分けて伝えることが、面接を通過するカギとなります。
自己紹介はあくまで面接の雰囲気づくりや、面接官に好印象を与えて興味をもってもらうことが目的であるため、内容は簡潔にする必要があります。
一方、自己PRでは自分が企業に貢献できる人材であることをアピールすることが目的であるため、内容は自分の強みや意欲を伝えます。
就活時の自己紹介と自己PRはそれぞれ目的が異なるため、自己紹介のときに強みや意欲も一緒に伝えてしまうと、面接官に質問の意図を理解していないと思われてしまう可能性があります。
就活の面接では、「あなたの強みはなんですか?」などの自己PRに関する質問もされるので、自己紹介にすべてを盛り込む必要はありません。
就活の面接はコミュニケーションの場であると捉えることが重要です。一方的に一度に情報を伝えるのではなく、面接官の質問に対して適切に答えることを意識するとよいでしょう。
盛り込むべき要素
自己紹介とひとくちに言っても、「面接で何を伝えるべきなのかわからない」という就活生もいるでしょう。
自己紹介に盛り込むべき要素は、面接官が面接の初めに欲しい情報や、面接官に良い印象を与える項目です。具体的には次の4点が挙げられます。
①プロフィール
就活生のプロフィールとは、「学校、学部、学科名、学年」「氏名」です。学校名や学部名などは、省略した言い方ではなく正式名称を伝えましょう。
②趣味やガクチカ(学生時代に力を入れたこと)
自分の人柄を知ってもらうために、趣味やガクチカも簡潔に伝えます。ガクチカは、学業や部活・サークル、留学などはもちろん、課外活動やアルバイトなどの学外での活動も含まれます。
また、ガクチカが思い当たらない場合は、自分の性格や特技を伝えるのも手段の1つです。
ここでの目的は自分の人柄を伝えることなので、企業にとって魅力的に映る自分の特性を簡潔に伝えるとよいでしょう。
例を挙げると面接官がイメージしやすくなるため、具体例を交えて自己紹介文を書いてみてください。
なお、趣味やガクチカをESや履歴書などの提出書類に記載している場合、面接では提出書類の内容とズレないように伝えることが基本的なポイントの1つです。
③選考への意気込みや熱意
面接への意気込みや熱意を自己紹介に盛り込むことで、気持ちが入っていることが面接官へ伝わり、一層印象づけることができます。
また、意気込みや熱意を自己紹介の終わりに持ってくることで、締めくくりの言葉にも繋げやすくなります。
緊張している場合は「緊張していますが力を出しきれるように頑張ります」などと正直な気持ちを口に出すことで、自分自身の緊張が和らぐという効果もあります。
事前に意気込みや熱意を伝える言葉をまとめておいてもよいですが、言葉を忘れてしまうことが不安な方は、その時に感じた素直な気持ちを伝えることも就活ではオススメです。
④感謝の言葉を添えた挨拶
「本日は、よろしくお願いいたします」と締めくくるだけではなく、「本日は、このような貴重な時間をいただきありがとうございます。
どうぞよろしくお願いいたします」と、感謝の言葉を添えることで、面接官に丁寧な印象を与えることができます。
相手方への心遣いができることは、ビジネスにおいて重要なポイントであるため、就活中から感謝の気持ちを一言添えるだけで第一印象をより良いものにできるでしょう。
就活における自己紹介のポイント
自己紹介に盛り込む要素がわかったら、次は文章にまとめていきます。
ここでは、面接時に自己紹介をする場面を想定して、自己紹介文を作る際や面接で自己紹介をするときのポイントを4つ紹介します。
1分程度で話せるように短く簡潔にまとめる
面接における自己紹介の時間の目安は1分程度です。人が1分間で話せる文字数は250文字~300文字程度と言われています。
そのため、先ほど紹介した自己紹介に盛り込むべき要素を、300文字程度の文章にして1分程度で話すことが重要なポイントです。
ただし、企業によっては30秒や3分など面接の時間が異なる場合や、学校名と氏名のみを先に尋ねられてその他の情報は後から質問されるといったこともあるため注意が必要です。
とはいえ、自己紹介文のベースは必要となるので、まず1分程度で話す内容を作り、30秒や3分のバージョンを作っておくとよいでしょう。
ESや履歴書の内容と齟齬がないこと
ESや履歴書など、提出済みの書類に記載した内容と自己紹介で話す内容に齟齬がないことも就活ではポイントの1つです。
面接官は、提出された書類の内容をもとに面接をおこなうため、書類と自己紹介の内容が一致していないと違和感をもたれる恐れがあります。
面接官に良い印象を抱かせるためには、違和感やネガティブなイメージをもたれることはできるだけ避けたいものです。
自己紹介文を書くときは、ESや履歴書に書く内容とズレがないか確認しましょう。
ハキハキ明るく話す
面接官が抱く第一印象を良くするためには、ハキハキと明るく話すことが大切です。
友人と話すときの声よりも少し大きめの声を出し、にこやかな表情で面接官の目を見て話すと明るい印象をもたれるでしょう。
声が小さかったり、話し方がしどろもどろだったりすると、面接官は不安に感じてしまうかもしれません。
人前で話すことが苦手な方は、友人や先生に協力してもらい客観的なアドバイスをもらいながら練習するとよいでしょう。
言葉遣いなどのマナーは意識する
面接では、敬語での受け答えや挨拶、質問の意図を汲んだ回答ができるかなど、最低限のコミュニケーション能力とマナーがあるかどうかも見られています。
自己紹介文を書く際には、用いる言葉が適切かどうか、相手にどんな印象を与えるかも考えながら書きましょう。
面接で使える自己紹介の例文
最後に、面接で使える自己紹介の例文を3つ紹介します。いずれも1分程度で話せるとされている300文字程度でまとめていますので、これらを参考にして自分の自己紹介文を作成してみてください。
例文①ゼミで取り組んだ内容から真面目さを伝える自己紹介文
○○大学○○学部○○学科4年の○○と申します。わたしは、大学で会社法のゼミに所属しており、働き方が多様化する現代における会社の在り方について研究しています。
最近では半年間、IT系企業の人事部のインターンシップで、Z世代が働きやすい社内の環境づくりに取り組みました。
卒業論文には、インターンシップで得た知見や経験も記載し、Z世代が働きやすい環境の案を挙げています。
卒業論文が完成したら、インターンシップ先にお礼と合わせて提案する予定です。
本日は、わたしが就きたいと考えている人事部の方との面接ということで、緊張しながらも楽しみな気持ちです。
このような貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
例文②アルバイトのエピソードからホスピタリティを伝える自己紹介文
○○大学○○学部○○学科4年の○○と申します。わたしは、大学2年生から約2年半、バーでアルバイトをしています。
オープニングスタッフとして働き始め、最初は店長との2人体制でしたが、年々スタッフが増えて、今ではわたしが5人のスタッフを指導しています。
アルバイトを始めたばかりの人は、メニューやお客様の顔を覚えることに苦労していますが、わたしが実践している覚え方を教えたり、悩み相談にのったりしています。
面接では、接客業で培ったコミュニケーション能力を発揮できるように頑張ります。本日は、このような貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
例文③部活のエピソードから牽引力を伝える自己紹介文
○○大学○○学部○○学科4年の○○と申します。わたしは大学の4年間、バドミントン部に所属しており、3年次と4年次はキャプテンを務めておりました。
わたしがキャプテンになったその日、チームの全員で目標と目標に到達するために何が必要かを話し合いました。
「インカレに出場する」という目標を掲げ、練習メニューはチームの状況を見ながら1日ずつ調整をおこないました。その結果、3年次と4年次にはインカレに出場することができました。
面接では、持ち前の明るさと目標達成力を面接官の皆さまに感じていただけるように頑張ってお伝えします。
本日は、このような貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まとめ
就活では面接時の自己紹介が、面接官の抱く第一印象を左右します。できるだけ良い印象を与えるためには、自己紹介を1分程度で簡潔に話せるように事前に書き出して、準備しておくことが大切です。
自己紹介は、あくまでもコミュニケーションのきっかけとするものなので、話す内容は詰め込みすぎず、「プロフィール」「趣味やガクチカ」「選考への意気込みや熱意」「感謝の言葉を添えた挨拶」をまとめましょう。
また、内容だけでなく、自己紹介をしているときの表情や話し方にも気を配ると、より好印象を抱かれる自己紹介になります。
ポイントや例文を参考にしながら自分らしい自己紹介をしてアピールしましょう。