これから就活を始める方の中には、
「他の就活生はどのくらいエントリーしているのだろう?」
「やっぱり数は多いほうがいいのか?」
などの悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。この記事では、そのような悩みを持っている新卒学生のために、平均エントリー数やエントリー数によるメリット・デメリットについて解説します。
最後にエントリー企業の選び方も説明しているので、ぜひ参考にしてください。
就活生の平均エントリー数
結果から言うと、新卒就活生の平均エントリー数は学生によって異なります。特定の業界に絞った就活をする人や、とりあえずエントリーをして志望業界や職種を固めていく人もいるからです。
自分の活動方針によって、適切なエントリー数が異なってきます。ほかの就活生がどれくらい活動しているかを知ることで、就活の方針を決める参考にしましょう。
エントリーの定義
エントリーとは「その企業に関心があると意思表示する」ことです。企業の採用ページから自分の情報を送信したり、エントリーシートや履歴書を送ったりすることもエントリーに当てはまります。
一方、プレエントリーとは「企業の採用情報ページや就活情報サイトに登録して資料請求をする」ことです。プレエントリーは正式な応募ではないので、興味がある企業には積極的にプレエントリーを行い、情報を集めましょう。
就活生のエントリー数は平均23社程度
マイナビの学生就職モニター調査(2022年8月)によると、新卒就活生の平均プレエントリー数は次のように推移しています。(参照:https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2021/09/s-monitor-22-8-001.pdf)
2021卒 | 2022卒 | 2023卒 | |
---|---|---|---|
プレエントリー | 24.2 | 25.0 | 22.6 |
ES提出 | 15.8 | 16.8 | 15.0 |
毎年、23社程度にエントリーを行い、うちエントリーシートの提出は15社程度です。
プレエントリーした人の約60%が本エントリーしていますが、見方を変えると、本エントリーはプレエントリーした企業の約60%にまで絞っていると言えます。
文系は平均29社
文系の就活生に絞った平均エントリー数を男女別に見てみると次のようになっています。
全体 | 男子 | 女子 | |
---|---|---|---|
プレエントリー | 28.3 | 28.9 | 27.8 |
ES提出 | 18.5 | 18.5 | 18.6 |
全体のプレエントリー数が22.6社なので、文系は平均よりも多くエントリーしていることがわかります。
これは、文系は理系に比べて就活を行う時間が取りやすいことと、文系は理系企業と文系企業の両方に応募できるため、選択肢が多いことが理由です。
その分、大手企業や人気企業は応募者が多くなる傾向にあり、競争率が激しくなり、内定率や内定数が少なくなります。
理系は平均18社
次は理系の平均エントリー数を見てみましょう。理系の男女別の内訳は次のようになっています。
全体 | 男子 | 女子 | |
---|---|---|---|
プレエントリー | 17.9 | 15.9 | 19.9 |
ES提出 | 7.1 | 10.9 | 13.3 |
全体のプレエントリー数は22.6社に対し、理系は17.9社と理系は平均エントリー数よりも少なくなっています。
理系は多くの大学生・大学院生は推薦形式で内定を得るため、エントリー数が少なくなる傾向があります。推薦形式は比較的合格率が高いため、利用する学生が多くいます。
3つの推薦応募方法
- 学校推薦:学部や学科ごとに設けられた推薦枠に応募する
- 教授推薦:研究室ごとに設けられた推薦枠に応募する
- 後付け推薦:自由応募で選考に申し込み、選考の途中で推薦状を提出する
就活生のエントリー事情
就活の大まかな流れは、大学3年生の3月から解禁になり、ほとんどの企業がエントリーから内定までの期間を2ヶ月ほどのスケジュールで組んでいます。
では、就活生がエントリーするのはいつ頃がいいのでしょうか。
3月と4月が本エントリーのピーク
3月にエントリーを受け付け、その後書類選考が終わり本選考に入るといったスケジュールで進み、6月には内定がでている企業がほとんどです。
特に、人気企業は3月いっぱいでエントリーを締め切ってしまうことも少なくありません。エントリー開始時期や締切の時期はしっかりチェックしましょう。
一般的には、2ヶ月程度で内定を出すスケジュールを組んでいる企業が多いため、3月4月がエントリーのピークとなります。リクルートの就職みらい研究所によると6月の時点で73.1%の学生が内定をもらっています。(参照:https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2022/06/naitei_23s-20220607.pdf)
逆に大手企業ではこの時期から選考が始まります。大手企業が本命の就活生は、大手企業を受ける前に複数社の内定をもらうのが一般的です。
4月以降の追加エントリーも多い
キャリタス就活2023によると、7月時点で、25.5%の学生が就活を続けています。(参照:https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/07/202207_gakuseichosa_kakuho.pdf)
エントリー企業の説明会や選考を通じて、今までになかった企業に興味を持つことも少なくありません。
このように、活動中にキャリアプランを変更する学生もおり、4月以降も新たにエントリーする就活生は多くいます。
中小企業やベンチャー企業などは、内定辞退者が出やすいため、夏以降も採用活動をしている企業や4月や5月から選考を受け付けている企業が多くあります。
50社以上エントリーする人もいる
行きたい企業を決めていない就活生の中には、エントリー数が50社を超える人もいます。
企業が定まっていないことは悪いことではありませんが、平均エントリー数や他の人の動向を気にしすぎて、適当に決めてしまうとミスマッチにつながります。
自分が納得するために必要なら、エントリーしすぎということはありません。エントリー数の多さにはメリットとデメリットのそれぞれがある点を理解しておきましょう。
エントリー数が少ないメリット・デメリット
「行きたい企業が決まっている」「しっかり企業研究をしたい」という理由で、エントリー数はできるだけ少なくしたいという人もいると思います。
エントリー数が少ない場合のメリット・デメリットをおさえておきましょう。
メリット①業界・企業研究を念入りにできる
一社ごとの企業研究がより深くできるようになるので、エントリーシートの完成度が上がります。企業研究を念入りに行えば、競合他社と比較や社風など、数多くの情報を把握できますね。
また、その企業でやりたいことや、業界の動向など、その企業について深く理解することで、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
企業理解が曖昧なまま入社してしまうと、「思っていた企業と違った」とミスマッチが起き、早期離職してしまうことも少なくありません。
メリット②軸が一貫し効率よく就活できる
自分の中で行きたい業界や、やりたい職種など企業選びの軸が定まっている就活生は、多くの企業研究の必要がなく、エントリーシートなどに使う時間も少なくてすみます。
また、軸が決まっていることで説得力のあるアピールができ、採用担当者に対して入社意欲を伝えやすくなるでしょう。
就活において志望意欲や熱意は、企業が就活生に求める重要な要素です。エントリー数を絞れば、志望度の高い企業ばかり選考を受けるので、モチベーションを維持して就活を進めることができます。
メリット③無理のないスケジュールが組める
エントリー数が少なければ、その分面接数も少なくなるため、スケジュールに余裕を持った就活が行えます。
エントリー数が多ければ、1日に複数社の面接が入り、場合によっては同時刻に重複してしまい、辞退しなければならなくなることも少なくありません。
その分、エントリー数が少ない人は、1日1社で週に5社のように無理なくスケジュールを組みやすくなります。
時間をかけた丁寧な就活を行いたい人は、あまり多くの企業にエントリーしすぎず、数を絞るようにしましょう。
デメリット①ミスマッチに気づいた時は遅い
就活の初期段階では、自己分析や企業分析が不足している人が少なくありません。
自己分析が浅い状態でエントリー数を絞ってしまうと、視野が狭いまま企業を選んでしまう危険性があるという点がデメリットになります。
就活を行っていく中で、別の業界に興味が出てくることも珍しくなく、ミスマッチに気づいたときには、エントリーできる企業がないという事態になりかねません。
このようなことにならないためには、少し数に余裕をもったエントリーが必要です。
デメリット②内定ゼロの可能性が高くなる
エントリー数を絞ると、全部の企業において書類選考の段階で落ちてしまい、面接に進める企業がなくなってしまう可能性もデメリットとして挙げられます。
その時点でほかの企業にエントリーしようとしても、応募期間が終了していたということが少なくありません。
その点、多くの企業にエントリーしていれば、不合格になってもまだ次の企業が残っているという安心感があります。また、面接を経験する回数も少なくなるので、面接慣れしにくくなるのはデメリットです。
エントリー数が多いメリット・デメリット
エントリー数を多くする理由は「なるべく多くの企業を見たい」や「少ないと不安」ではないでしょうか。
かといって、闇雲に増やしてしまってはかえって逆効果になることがあります。エントリーが多い場合のメリット・デメリットも理解しておきましょう。
メリット①途中で、より自分にあったいい企業に出会うことがある
エントリー数を多くすることで、企業を調べることや情報を入手できる機会が増えます。
特に気になっていた企業ではなかったが、実際に選考を受けて面接で話を聞いてみると、意外にも自分のやりたい仕事だったということも少なくありません。
さらに、自分で調べるだけでなく企業から情報が送られてくることもあるため、視野も広がります。
就職先の選択肢を広げるためにも、まずは多くの企業にエントリーしてみることはおすすめです。
メリット②面接や選考の経験を積むことができる
面接でスムーズに答えるためには、場数を踏んで慣れることが大切です。
数多くの企業にエントリーして、大量のエントリーシートの記入や面接に行く手間はありますが、その分他の学生よりも多くの経験値を積むことができます。
第一志望の企業を受けるまでに面接慣れしていれば、緊張せず面接に臨むことができるため、場数を踏めることで自信がつくでしょう。
第一志望の面接を受ける前に、他社で経験を積めることは大きなメリットです。
メリット③面接の可能性が高まる
「就職できる企業がない」という事態は避けなければなりません。
多くの企業にエントリーすると、必然的に面接する企業も多くなるため、採用される確率も高くなるのです。
また、面接できる企業が複数あることで気持ちに余裕を持って面接に望むことができます。
就活を円滑に進めるためにも面接が受けられないといった事態は避けることが重要なため、エントリー数はある程度増やしておきましょう。
デメリット①スケジュール管理が大変になる
エントリー数が多いと面接の機会が増える一方で、応募書類の提出も増えてしまうのはデメリットの1つと言えるでしょう。
出期限を過ぎてしまうことや、面接日を間違えてしまう可能性もあるでしょう。管理が甘く「同じ日の同じ時刻に面接が入っていたのに気づかず、面接に行けなかった」という人もいます。
数多くの選考が同時進行で進むと、どんどんスケジュールが埋まっていくので、確認しながらエントリーを進めていかなければなりません。
スケジュール管理は徹底的に行いましょう。
デメリット②1社に使える企業研究の時間が少なくなる
就活では企業ごとの対策を行い、完成度の高いエントリーシートの提出や掘り下げた企業研究が必要になります。
しかし、エントリー数が増えるほど1社に割ける時間は少なくなるのもデメリットです。
企業研究が甘いと完成度の低いエントリーシートしか書けず、書類選考を通過することが難しくなる可能性があります。
また、やるべきことが多すぎると、追い詰められてしまうことも少なくありません。
エントリーシートの提出期限や選考スケジュールを確認しながら、消化できる範囲でエントリーしましょう。あまり詰め込みすぎると逆効果です。
自分に合ったエントリー企業の選び方
行きたい業界などはイメージできていても、いざ企業に応募するとなると迷いますよね。同じ業界や同じ職種だったとしても、企業によって仕事内容が変わってくる場合があります。
深く考えずに決めてしまうと「思っていたイメージと違う」ということになりかねません。
そのためにも、志望企業は慎重に選ぶ必要があります。自分にあった企業を見極めるコツを紹介するので、企業選びの参考にしてください。
自分の軸を決める
就活を行うにあたって一番大切なのは、軸を決めることです。仕事内容や転勤の有無など、絶対に譲れない条件に優先順位をつけましょう。
軸がブレるといろんな企業に目がいってしまい、志望動機も曖昧なものになりがちです。
あまり条件を絞りすぎると、選択肢が狭くなってしまうので2〜3個くらいの条件に絞って探すと見つけやすくなります。
関連のある仕事もあわせて確認する
自分が興味のある業種や職種から企業選びをしていきますが、関連のある仕事もあわせて確認してみることをおすすめします。
たとえば、銀行を志望している場合「お金に関わる仕事」という共通点では、証券会社やクレジット会社なども該当します。
お金に関わる仕事という共通点があるので、話を聞いたら魅力的な仕事だったということも少なくありません。
このように、共通点のある企業も検索することで、意外な仕事が見つかることもあります。自分の可能性を狭めないよう、視野を広げることを意識しましょう。
自分の軸とマッチしているかチェック
興味のある企業を選んだら、そのなかで自分の軸にマッチしている職種かどうかを、優先順位をつけてさらに絞り込んでいくことが大切です。
たとえば、譲れない条件が営業職だとしたら、興味のある企業の募集職種が販売職なら、マッチしていないことになります。
このように絞り込みは、軸をもとに消去する方法で探していくと見つけやすくなりますよ。
インターンシップには積極的に参加する
インターンシップで実際に職場体験をすることで、説明会ではわからなかった新たな発見があることもあります。
業種や企業による仕事内容の違いや働いている人たちの雰囲気、社風などを知ることができる絶好の機会です。
インターンシップは、OB・OG訪問などで話を聞くよりも、さらに現場の空気を肌で感じることができる場なので積極的に参加することをおすすめします。
就職エージェントを利用する
就活は初めての経験なので、わからないことが多くて不安という人も多いと思います。そのようなときは、就職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。
就活エージェントは、民間の人材会社が就活生向けに提供するサービスで、無料で使えます。次のようなメリットがあるのでぜひ活用してみてください。
- 自分に合った求人を紹介してもらえる
- 何度でも1対1の就活相談ができる
- 他己分析が受けられる
- エントリーシートへのアドバイスや添削が受けられる
- 模擬面接などの面接対策が受けられる
就活のエントリーで大切な注意点
エントリーが始まると、他の就活生のエントリー数が気になり、焦ってしまう人も少なくありません。
しかし、他の就活生エントリー数を意識しすぎるよりも、自分のペースで就活を行うことが何よりも大切です。エントリーする際におさえておきたい注意点について把握しておきましょう。
エントリーのタイミングを逃さない
エントリーには期間の定めがあります。期限内の提出であれば問題ありませんが、早めにエントリーをしたほうが企業側の印象はよくなります。
プレエントリーの時点でリクルーターから連絡が来て面談が始まるということも少なくありません。
また、プレエントリーが早ければ、その分企業研究の時間が増やせるメリットもあります。エントリーが始まる前に自己分析や業界研究を済ませ、エントリーをスムーズにできるようにしておきましょう。
興味のある企業にはとりあえずプレエントリーする
プレエントリーをすることで、企業から採用情報や説明会、エントリーシートの情報が入手できます。
何でもかんでもエントリーすることはよくありませんが、気になる企業やプレエントリーに迷っているなら、とりあえずプレエントリーをしておきましょう。
企業情報を見ていく中で興味が沸くことや、逆に「ちょっと違うな」と感じることも少なくありません。その場合はエントリーシートを提出しなければいいだけです。
エントリー数にとらわれすぎない
周りがどれくらいエントリーしているかは、就活市場やライバルの動向を知り、就活を進める目安のひとつです。平均エントリー数は、必ずしも自分に合ったエントリー数だとは限りません。
エントリー数にとらわれすぎると自分のペースを乱し、企業研究も疎かになってしまいます。自分なりのエントリー数を考えて就活を行いましょう。
持ち駒が少なくなったら追加エントリーも視野に入れる
エントリーをしてエントリーシート提出に進んだものの、不合格となることも少なくありません。
そのようなときは、追加でエントリーすることを視野に入れましょう。大手なら6月頃からエントリーが始まりますし、9月過ぎに秋採用をする企業もあります。
ただし、追加エントリーは志望動機をより明確にしなければなりません。
なぜかというと、早めにエントリーした学生の方が、志望度が高いと判断されることが多いからです。「受けるところがなくなったから応募した」と悟られてしまうと不利になってしまいます。
企業にあったエントリーシートを準備する
エントリー数が多くなるとエントリーシートの作成も増えるため、その都度内容を考えるのは負担になりますよね。
しかし、効率を上げるために、毎回同じ内容にするのはおすすめできません。企業ごとに求めている人物像は異なるので、アピールポイントや志望動機も異なって当然です。
また、企業研究や自己分析が不十分だと、面接で質問されたときに答えられないこともあります。内容に矛盾がないか、よく確認しておく事も大切です。
ESは応募先企業が求める人物像をイメージして、企業にあった内容を面倒でもその都度記入しましょう。
まとめ
エントリーの平均数はあくまで目安に過ぎません。あくまでも内定を獲得することが目的なのです。「平均以上はエントリーしよう」などエントリー数にこだわるのは本末転倒です。
エントリー数の多すぎる・少なすぎるメリット・デメリットを踏まえたうえで、自分にとって適切なエントリー数を目指しましょう。
そのためには自己分析と企業研究が欠かせません。しっかりと軸を決めた活動を行えば、ほかの人の同行や平均エントリー数は気にしなくても、あなたがエントリーすべき数が見えてきます。