就活の定番の質問といえば「ガクチカ」です。面接官に聞かれたときにしっかり答えられるように準備しておきたいところです。しかし、ガクチカの書き方がよく分からない人やどんな内容にすれば好印象なのか迷ってしまう人は多いのではないでしょうか。
就活生の無料相談支援を行っている「JOBマッチ」を担当している私がこの記事を担当し、就活におけるガクチカの書き方やポイントを例文付きで詳しく紹介します。就活を有利に進めるためのヒントにしてみてください。
就活のガクチカとは?
就活のガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」を指します。
就活の面接では志望動機や自己PR同様に重要な質問のひとつです。面接で聞かれる場合もあれば、ESで記入を求められるケースもあります。
学生時代の思い出を語るのが目的ではありません。就活では学生時代に力を入れたことが社会にどう活かせるのか、上手にアピールする必要があります。
就活のガクチカの書き方のポイント
就活のガクチカでは面接官の心を惹きつけることが大切です。
単に実際に起こったことを淡々と伝えるだけでは、面接官の印象に残りません。
ポイントは「ガクチカの構成」です。以下では、就活のガクチカの書き方のポイントを解説します。
結論から伝える
まずは質問に対して結論から伝えることです。結論を先に述べることで、その後のエピソードのイメージが湧きやすくなります。
結論から伝えるのはガクチカに限った話ではありません。
就活では志望動機はもちろん、自己PRなどのすべての質問に共通することであり、社会に出てからも「報告は結論から」が原則です。
結論ファーストを意識して構成を考える癖を身に付けましょう。
背景や理由を伝える
結論の次に背景や理由を伝えます。企業はガクチカの背景や理由についても厳しくチェックしています。
ガクチカにおける背景や理由は「仕事へのモチベーション」に直結するからです。
背景や理由に熱意が伝われば「入社後も前向きに取り組んでくれそう」と、面接官の印象もプラスにはたらきやすくなります。
課題点や困難だと感じたエピソードを盛り込む
ガクチカは成功体験や華々しいエピソードを語るだけで終わってはなりません。
課題点や困難だと感じたエピソードも積極的に盛り込みましょう。
ネガティブなエピソードは隠しておきたいと思うかもしれませんが、面接官は課題や困難にどう向き合ったのかも含めて採点を行っています。
ポイントは最初の状況を伝えること。就活で学業をガクチカとする場合「最初は英語が苦手で高校生レベルすらも危うかった」という状況からどう努力を重ねたのか、面接官がイメージしやすいように伝えましょう。
行動と結果で締めくくる
ガクチカの最後は自分が取った行動と結果で締めくくります。どんな結果だったのかはそこまで重要ではありません。
それが例え失敗に終わったとしても、そこから自分が何を得たのか、次はどう行動しようと思ったのかが重要です。
面接官は「成果」よりも「結果」で判断しています。また、締めくくる際もガクチカがどう社会に活かせるのか、企業の特徴を踏まえた上でアピールしましょう。
例文を参考にして書き方を押さえよう
ここからは就活のガクチカの作り方や書き方を例文を交えて解説します。まずはガクチカのテーマを決めること。
そこから企業の特徴やどんな人材を求めているかを踏まえながらガクチカを作成していきましょう。
例文①ガクチカを「学業」にする場合
学部の先輩から情報を収集し、特に1、2年生ではコマを限界まで入れて学業に取り組みました。その結果、3年生以降はゼミに集中でき、アルバイトで社会経験を積むこともできました」
学業は個人の力量による要素が強いため、チームワーク重視の企業にはあまり向いていないかもしれません。
その反面、結果が目に見えて分かりやすいことから、客観的に成果を述べることができるでしょう。
例文②ガクチカを「サークル・部活」にする場合
「私は手話サークルで新メンバーの勧誘に力を注いできました。最初は10名にも満たないサークルで活気に乏しく、翌年は20名の新メンバー加入を目標に勧誘の準備を進めることにしました。ところが、新型コロナ感染症の影響で勧誘活動ができなくなってしまいました。
そこで私たちが考えたのがSNSを使っての勧誘活動です。毎日簡単な単語や会話を手話で動画撮影し、アップすることで徐々に興味を持ってくれる学生が増えてきました。翌年の新メンバー加入は14名と、目標の20名を達成することはできませんでしたが、多数のメンバーを迎えることでサークル内が活気づいたことは間違いありません。
駄目と言われたから諦めるのではなく、現状できることを最大限に活かす粘り強さを学びました」
サークルや部活をガクチカにする場合、自分の活躍をアピールしやすいのが利点です。
ただし、サークルや部活をガクチカに設定する就活生は多いため、面接官の印象に残るようなインパクトのあるエピソードを盛り込んだ方がいいかもしれません。
例文③ガクチカを「ゼミ」にする場合
「私は食育活動のゼミにもっとも力を入れてきました。付属の幼稚園では定期的に園児と料理を作ったり、食事マナーを教えたりと食育活動にも積極的に関わっています。このゼミの難しさは子どもにどう食育を伝えるかです。「一緒に食べよう」「好き嫌いは駄目だよ」と言ったところですべての子どもには伝わりません。
どんな言い方が子どもの心に刺さるのか、ゼミのメンバーで話し合ったところ、子どもの間で流行しているアニメを活用しようという意見が出ました。さっそくアニメのキャラを紙芝居にして食育活動をしたところ、子どもの興味を惹くことができました。この取り組みは園からも大好評で、ゼミのメンバーの絆も一層深まりました。人に何かを伝えるときは一方的にならないように相手の気持ちを考えること。そうすれば思いは必ず伝わるということを学びました」
ゼミ活動は専門性の高さをアピールできます。
その一方で、説明に専門用語ばかりを使うと相手に伝わりにくくなるので注意が必要です。
例文④ガクチカを「アルバイト」にする場合
「私が力を入れたのはアルバイトです。高校入学当時から続けている飲食店のホールスタッフで、最初は覚えが悪く怒られることも多くありました。しかし、徐々に慣れていくと要領を掴むことができ、常連様から名前で呼んでもらえることも増えてきました。
今ではバイトリーダーとして、新人アルバイトの教育を任されています。人に教えながら接客業務も通常通り行っていくことは難しいことではありますが、それ自体が私のやりがいでもあります。社会に出たら今以上に厳しいことがあると思いますが、アルバイトで培った視野の広さを業務でも活かしたいです」
アルバイトとはいえ、仕事をしてお金をもらうという経験は十分にガクチカでアピールできます。
ただし、単にアルバイトを長く続けたというだけでは少し物足りない印象に。どんな役割を成し遂げたのか、自分だけに任されたエピソードなどがあればさらに印象がよくなるでしょう。
例文⑤ガクチカを「ボランティア」にする場合
「私は大学時代、積極的にボランティアに参加していました。最初は近所の清掃ボランティアから始めたのですが、徐々に他のボランティアにも興味が湧くようになり、昨年は台風被害の災害復興ボランティアにも参加しました。
厳しい惨状に目を背けたくなることもありましたが、自分の頑張りが被災者の役に立っていると思うと、最後までやり遂げたいという使命感も湧いてきました。
御社の理念は仕事を通じて社会貢献をすることとあります。ボランティアも社会貢献の一環であり、私の経験に通じるものがあると思っています。私自身も御社での業務を通じて社会貢献できる一員を目指して頑張りたいです」
ボランティアへの参加をガクチカに掲げる就活生は意外と多いです。そのため、単にボランティアに参加しただけでは面接官の印象に残りません。
ボランティアで得た学びや気付き、ボランティア経験が企業にどう結びつけるかがポイントとなります。
就活のガクチカに関する疑問
就活のガクチカの書き方のポイントや例文について何となく理解できても、まだ疑問が残る就活生も多いはず。
以下では、就活生がガクチカに対してよく抱く疑問を2つ解説します。
ガクチカがない場合はどうする?
ガクチカ=ドラマのような成功体験と思っている就活生は少なくありません。
しかし、面接官がガクチカで判断しているのは、大学生活を通じて自分がどんな成長を遂げたのか、またその経験がどう社会で活かせるかです。
華々しいエピソードでなくて大丈夫で、どうしてもガクチカにできるエピソードが見つからない場合、アルバイトや長期インターンに参加してみるのもおすすめです。
ガクチカがないからといって嘘をつくのは絶対にやめましょう。
ガクチカと自己PRの違いは?
- ガクチカは「学生時代に力を入れたこと」
- 自己PRは「自分の長所や強み」
このような違いがあります。
いずれも結果として「企業に貢献できるか」が共通のポイントとなりますが、ガクチカは結果にたどり着くまでの過程が重視されます。
まとめ
ガクチカは就活の面接やESで必ず聞かれる質問のひとつです。
志望動機や自己PRに匹敵するほどの重要項目なので、必ず答えられるようにしておきましょう。
ガクチカには学業やサークル・部活、ゼミ、アルバイト、ボランティアなど学生時代の経験することをテーマにするのが一般的です。
ポイントは結論から伝えるようにし、背景や理由、課題などのエピソードを盛り込んで伝えることが大切です。
とはいえ、ドラマのように大袈裟にする必要はありません。自分がガクチカにどう向き合ってきたのか、過程をひとつずつ伝えることで思いは必ず伝わります。
面接官の心を惹きつけられるようなガクチカを書いて就活を成功させましょう。