新型コロナウィルスの流行をきっかけに就活のオンライン化が進み、近年では採用過程に動画選考を実施する企業も増えています。馴染みのない選考方法に戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、就活の無料相談を行っている「JOBマッチ」を担当する私が、採用担当者の目を惹き好印象を与える自己紹介動画の撮影方法や、周りと差をつけて選考を突破するコツについて解説します。
多くの人が苦手意識を持ちがちな就活の動画選考をうまく乗り切る秘訣を知りましょう。
企業が動画選考を行う意図・目的
まず初めに、企業が就活の採用過程に動画選考を行う理由を紹介します。採用担当者が見ているポイントを理解することによって、効果的なアピールがしやすくなるでしょう。
採用活動の効率化
大手企業や人気の企業は毎年応募者が多く、全ての書類に目を通して評価するのは大変です。また、優秀な人材を確保しようと、応募者全員と面接をしたいところですが、大きなコストと時間が必要になるため、実現不可能でしょう。
そこで企業は、採用活動の効率化を図るために動画選考を実施しているのです。
ESや履歴書を読み込むよりも、自己紹介動画などの内容を見聞きするだけで判断することができるので、効率的に選考を進めることができます。
書類選考では伝わらない魅力を知るため
動画選考では、ESや履歴書などの書類選考だけでは伝わらない応募者の雰囲気を知ることができます。
動画選考は文面だけでは伝わりにくい人柄や熱意を声のトーンや表情、話し方を通じて知ることができるので、企業はより具体的なイメージを持つことができ、求める人物像により近しい応募者を見極めることができるでしょう。
企業は精度の高い採用活動をすることができ、応募者にとっても自分を表現できる機会を得ているので、就活において動画選考は双方にメリットをもたらします。
入社に対する熱意を見ている
企業は動画選考を通じて入社に対する熱意も見ています。
就活の選考過程において撮影した動画を提出することは、それなりの準備と時間がかかります。志望度が高ければ高いほど、応募者は入念に準備を行いますし、話し方にも熱意がこもるでしょう。
実際に応募者の口から志望動機などを聞くことによって、その人の本気度を把握でき、初期段階で優秀な人材を適切に評価する一助になるのです。
就活の自己紹介動画の評価ポイント
ここからは就活の自己紹介動画の評価ポイントを解説します。高評価を得るためにも必ずチェックしましょう。
時間内に魅力がまとめられているか
自己紹介動画では、指定された時間内に伝えたい内容を端的にまとめられているかを評価ポイントとしています。
就活の自己紹介動画の多くは30秒から1分であり、文字数にするとおおよそ165文字から330字程度です。伝えたいことをコンパクトにまとめられるかどうかが勝負の鍵となります。
ビジネスの場面においても、簡潔かつ話の要点を押さえた発言や会話をすることが求められるので、結論から話したり、5W1Hを意識して話したりすると良いでしょう。
聞き手が理解しやすいかどうか
就活において自己紹介動画を撮影する際、聞き手を意識しているかどうかも評価のポイントです。
動画選考の場合、一方的なアピールのため、聞き手への配慮がより必要になります。自分では普段通りに話していても、動画越しでは聞き取りづらい場合もありますので、注意してください。
声のトーンやカメラ目線、画面の明るさなど、相手が見やすいような動画を心がけましょう。
雰囲気が社風とマッチするかどうか
動画選考では、面接をしなくとも応募者の雰囲気を知ることができるので、動画の内容とトータルの雰囲気から社風とマッチするかどうかも評価しています。
書類選考のみでは「面接で話を聞いてみよう」といったケースもありますが、初期段階で動画選考がある場合、動画の雰囲気でマッチ度を判断されるため、選考通過者の絞り込みが厳しくなるといってよいでしょう。
就活で好印象を残す撮影の仕方
就活の自己紹介動画で採用担当者の目を惹くためには、撮影方法に工夫をなす必要があります。ライバルと差をつけて選考を突破しましょう。
最初の一言が勝利の鍵
人の第一印象が会って3秒で決まるように、自己紹介動画の最初の一言で印象が決まると言っても過言ではありません。
最初がグダグダしてしまうと、印象が良くなく、話の要点も理解しにくくなってしまいます。そのため、冒頭のアピールを最優先に工夫し、一番に伝えたいことから話すことによって効果的にアピールすることができるでしょう。
もちろん内容を濃いものにすることも大切ですが、「この先も見たい!」と思えるような出だしを意識すると、採用担当者の頭に残り、好印象を与えることができます。
撮影環境を整える
背景はシンプルで清潔感があるのが好ましいです。まっさらな壁かカーテンを背景にすると良いでしょう。また、就活に関係のないポスターや写真は外してください。
撮影場所は静かで、人の出入りがない場所で撮影をしましょう。騒音などが入ってしまうと、聞き取りづらくなってしまうので要注意です。
しっかりと順光で顔が明るく見える場所で撮影する
明るさは、顔全体がはっきりと映るように設定しましょう。明るい室内や自然光が差し込む場所で撮影すると、顔の表情が鮮明に映り好印象です。
しかし、逆光は顔が暗く、片側光は顔に影ができてコントラストがつきすぎてしまいます。どうしても部屋の中はライトが頭の上にあるので、頭の下側が暗くなりがちです。
そういった時は白い床の場所で撮影するか、膝の上に白い布やタオルを置いて撮影すると光がバウンスされて綺麗に見えるでしょう。卓上のリングライトを用いるのもおすすめです。
正しい姿勢や仕草
動画を撮影している最中の姿勢や仕草も気をつけましょう。
人間の行動原理として姿勢が悪かったり、手の動きが多い、顔をよく触るなどの手癖が出てしまうなどは、採用担当者によっては人間性のバランスの悪さや自信のなさの表れと評価する場合が稀にあります。
椅子に深く腰掛けず、顎をひいて背筋を伸ばすのがポイントです。一度試し撮りをしてどのように映っているかを確認しましょう。
ゆっくりハキハキと話す
時間内に収めようと無意識に早口になってしまいがちですが、落ち着いてゆっくりと話すようにしましょう。
動画越しに相手が聞き取りやすい速度とは、自分が思っている以上にゆっくりです。以下を参考に、時間内に話せる内容や文字数を踏まえて撮影に臨みましょう。
時間 | 文字数 |
30秒 | 150字 |
1分 | 300字 |
1分半 | 450字 |
2分 | 600字 |
3分 | 900字 |
服装や小道具に工夫をして採用担当者の目を惹く
採用担当者の印象に残る自己紹介動画を撮影するには、服装や小道具に工夫をなして他の就活生との差をつけましょう。
就活の自己紹介動画の撮影方法に決まりがなければ、内容に関連する服装にしたり、フリップや小道具を使ったりすると効果的です。形式的な自己紹介にとらわれず、自分ならではの自己紹介をすることで好印象を与え、他の就活生と差をつけることができるでしょう。
もちろん、悪目立ちをするのはマイナスイメージとなってしまうので、最低限のマナーを守った上で自己紹介動画を撮影をすることが大切です。
可能であれば編集をする
撮影した動画の編集が可能な場合は、間をカットしたり、文字入れを行いましょう。字幕があると見やすい動画になりますし、編集しているという一手間が入社への熱意と捉えられることもあります。
特に自己紹介動画の中で写真を見せたい場合には、編集で写真を貼ると見やすく、雰囲気が伝わりやすいです。
自己紹介動画を編集する際には、過度な編集は避け、あくまでも素の自分をより良く見せるための一助だということを意識しましょう。
自己紹介動画を提出する前に確認すること
せっかく撮影した自己紹介動画が提出できなくては元も子もありません。就活の先輩の中には条件を満たしていなかったために、自己紹介動画の提出が認められなかったという経験をした人もいます。
提出期限に余裕を持って撮影し、提出前に以下のことをチェックしましょう。
画角や明るさは適切かどうか
自分で撮影・編集した自己紹介動画は必ず見返してください。
- 自分自身がはっきりと映っていますか?
- 自分の顔が見切れていませんか?
これらが満たされていないと、暗い印象を与えてしまいます。きちんとした評価をしてもらうためにも撮影した動画の画角や明るさはその都度確認しましょう。
ファイルの形式・容量
企業は自己紹介動画を提出する際のファイル形式や容量を指定しています。
動画の場合、ファイル形式にいくつか種類があり、適切なファイル形式でないと動画提出の際にアップロードできません。元の動画は適切なファイルだったのに、編集後には拡張子が変更されていたという場合もあります。同時に容量が大きくなってしまい、アップロードできなかったということもあり得ます。
ファイル形式や容量が指定されたものではない場合、拡張子変更または容量圧縮をした後、動画が正常に再生できるかどうかを必ず確認しましょう。
動画の長さ
撮影や編集をした動画は、企業が指定した時間に収まっていますか?
1秒でも指定時間を超える動画は評価の対象外にされてしまい、動画が見られることなく選考に落ちてしまうかもしれません。提出する前に動画の長さを確認しましょう。
よくある質問
ここからは就活の自己紹介動画を撮影する際によくある質問について答えていきます。
Q.自己紹介動画の選考が求められる企業の特徴は?
近年ではエンタメや商社、メーカー、航空、アパレル業界など、さまざま業界・企業で動画選考の導入が進んでいます。
特に「あなたらしさを表現してほしい」というエンタメ業界や航空業界、大手商社、化粧品メーカーに多く実施されています。それぞれの業界によって高評価を得る表現の仕方も異なるので注意が必要です。
- 資生堂
- ディオール
- ANA
- JAL
- TBS
- 日本テレビ
- 三菱商事
- 伊藤忠商事
- 野村不動産グループ
- アミューズ
- ポニーキャニオン など
Q.カメラの向きは縦?横?
就活の自己紹介動画を撮影する際には、横向きが好ましいです。
採用担当者もパソコンやモニターで再生するので、画面いっぱいにアピールすることができるでしょう。
カメラの向きは企業からの指定があると思うので、撮影前に要チェックです。
Q.カンペは見てもいい?
カンペを用意することは問題ありませんが、そのまま読み上げてしまうのはNGです。用意されたセリフを述べているのでは魅力が伝わらず、カンペを見ていることも目線でバレてしまいます。
自分の伝えたい要点のみを書き出し、カメラの周辺に置いておきましょう。自分の言葉で自然と話すことが好印象を与えるコツです。
Q.撮り直しはOK?
就活の自己紹介動画を撮影する際には、企業から使用ツールの指定があり、その中で撮り直しがOKなものと一発撮りのものの2パターンがあります。
事前に撮り直しができるかどうかを確認してから撮影をしてください。
撮り直しがOKな場合、撮影する毎に動画を見返して常に相手が理解しやすいかどうかを確認しましょう。
この時、何度も繰り返し撮影する中で、回答が機械的にならないように注意してください。あくまでも採用担当者は就活生のありのままを知りたいので、完璧を求めすぎず、自然体で臨めるようにしましょう。
一発撮りの場合、念入りな準備が必要です。想定外のことが起きても動揺した様子は見せず、臨機応変に対応しましょう。
Q.服装は私服でも大丈夫?
基本的にはスーツが無難です。企業によっては私服や自分らしい服装という指定をしてくる場合もあるので、必ずチェックしてください。
身だしなみをきちんと整えた上で撮影をしましょう。
まとめ
就活で自己紹介動画を撮影することは、最初の印象を形成する大切なステップです。何よりも相手に伝わりやすくすることを意識しましょう。
この記事で紹介したポイントを押さえて、書類だけでは伝わり切らないあなたの魅力を、自己紹介動画を通じて採用担当者に伝えられると良いですね。自分らしさを大切にして就活を成功させましょう!