就活の面接やエントリーシート作成で必ず聞かれる質問に「強み」があります。自分をアピールするチャンスですが、「自己PRや長所との違いがよくわからない」「強みなんてない」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
実は、就活で企業にアピールできる強みは特別なエピソードである必要はありません。この記事では、そもそも就活の強みとは何なのか、 企業から強みを聞かれる理由、強みを探す方法、強みを効果的にアピールするコツ、例文などを詳しく解説します。
面接官に自分の魅力を最大限アピールし、内定を勝ち取るためにも本記事を参考にしてください。
そもそも就活の強みとは? 自己PRや長所との違いを理解しよう
就活で必ず質問される「強み」とは、一体どのような意味があるのか、また、似ている言葉である自己PRや長所との違いは何なのか疑問に感じている人は多いと思います。
まずは、就活における強み、自己PR、長所について解説します。それぞれの違いを正しく理解して、就活の場で適切に回答できるようにしていきましょう。
強みとは何か
そもそも就活における強みとは、企業に利益をもたらすためのスキルを指します。言い換えると長所なのではと感じるかもしれませんが、強みは利益を生み出すことに直結するスキルであるということを覚えておいてください。
長所は、自分視点での良い点であり、企業視点ではありません。つまり、第三者に対してメリットを提供できるのが強みであるということですので、長所と混同しないようにしましょう。
自己PRとの違い
自己PRとは、企業に対して自分の良い点をアピールすることを意味します。自分の魅力をアピールする行為そのものを指すため、自分が兼ね備えている「企業に利益をもたらすためのスキル」である強みをアピールする手段であると考えると違いが分かりやすいです。
少し複雑な内容ですが、就活の面接の場で質問された際には「入社後に活かせる自分のスキルや経験」を伝えるようにしてください。たとえば、営業職ならコミュニケーションスキル、海外とのやり取りが多い仕事なら語学力など自分を採用するメリットは何かを意識して回答することが大切です。
長所との違い
長所とは、自分自身の資質、人柄、性格の中で優れた部分を指します。強みとは異なり、長所は利益に直結しませんが仕事上活かせるポイントであり、たとえば、協調性、向上心などが挙げられます。
強みも長所も自身の優れている部分であるという点で同じですが、長所は他人と比べて優れている特徴を意味し主観的であるといえ、強みは第三者が享受できる他人よりも優れている点であり客観的であるという大きな違いがあります。
就活で企業から強みを聞かれる3つの理由
就活の面接の場で強みを聞かれる理由は、下記の3つが挙げられます。
- 自己理解ができているか確認するため
- 自社への適性を把握するため
- 採用するメリットを確認するため
就活での強みは、華やかな経歴や特別な実績をアピールする必要はありません。大切なのは、なぜ企業が強みを聞くのか意図を理解して適切に回答することです。そのため、面接官からの質問の本質を正しく理解していきましょう。
では、 企業から強みを聞かれる3つの理由を解説します。
自己理解ができているか確認するため
就活の面接の場で強みを聞かれる理由は、自己理解ができているか確認するためです。過去を振り返り未来につなげる努力ができる人物であるのかを面接官は把握し、自社に必要な人材か否かの判断材料にしています。そのため、自己分析をおこない自分の強みや弱み、得意や不得意、価値観、考え方など自分を正しく理解し、どんな仕事であれば力を発揮できるのかを考えることが大切です。
しっかりと自己理解を深めなければ、自分のことが分からず強みを魅力的にアピールすることは難しいといえます。選考を突破するためにも自己理解を深めて、面接官に魅力が伝わる強みを考えることが大切です。
自社への適性を把握するため
同じ業界・業種であっても企業によって価値観や雰囲気などが違うため、求められる強みも当然異なります。そのため、自社への適性を把握する目的として就活生の強みを把握しようとしています。
自社の特徴と合っていない就活生を採用してしまうと、すぐに離職してしまったり、在籍している社員と意思疎通が図れなかったりなど問題が生じる可能性があります。つまり、就活の面接の場では就活生の強みを把握し、自社で活躍していける人材であるのかを判断しているため、志望する企業が求める強みを調べてアピールすることが重要であるといえます。
採用するメリットを確認するため
就活における強みとは、企業に利益をもたらすためのスキルを指すため、学生が入社後に同様の強みを発揮して自社の売上や成長に貢献できるのかを見極めているということです。
面接官は就活生の強みが再現性があるのかを確認し、実務で強みを活かして高いパフォーマンスを出せるかどうかを判断しています。そのため、就活の面接では自分を採用するメリットはどのような点なのかを考えながら強みを洗い出していくと、面接官からの好印象につながるアピールをすることができます。
自分の強みを探す4つの方法
就活で必ず面接やESで質問される強みを探す方法として、下記の4つが挙げられます。
- 自分史やモチベーショングラフを作成する
- 自己分析をおこなう
- 弱みを言い換える
- 周りの人に相談する
「強みが分からない」「自信を持ってアピールできる強みなんてない」など悩んでいる人もいると思いますが、上記の方法をおこなうと自分を客観的に分析でき、強みを見つけ出すことができます。では、それぞれ解説していきますので、参考にしてください。
自分史やモチベーショングラフを作成する
就活中に自分史やモチベーショングラフを作成すると、自分の強みを見つけることができます。自分史とは、その名の通り今までの自分の半生を時系列に整理して一覧化したものです。モチベーショングラフとは、縦軸にモチベーション、横軸に年齢を設定し、人生で起きたさまざまな出来事を洗い出して自分のモチベーションがどのように振れるのかを一覧化して洗い出すグラフです。
書き方は簡単で、手持ちのノートやパソコンで作成することが可能であり、いつでもすぐに始めることが可能です。自分の強みを見つけるためにも、過去からの経験を通して活躍できたこと、褒められたこと、頑張れたことなどを洗い出しをおこなってください。その中から出てきた共通点を強みということができます。
自己分析をおこなう
自分の強みを探す方法の代表として、自己分析をおこなうことが挙げられます。自己分析とは、過去の経験や考え方から「強み・弱み」「長所・短所」「得意・不得意」「価値観」などを客観的に分析することで、就活を進める上では必ずやらなければならないものです。
自己分析をおこなうことで自分を把握すると強みや長所を発見することができますし、面接やESなどで他の質問をされたときにも一貫した主張をしたり、応用させたりすることが可能になるので自己分析は欠かさずにやりましょう。
弱みを言い換える
自分の強みを探すために、弱みを言い換えるという方法があります。自分の弱みしか思い浮かばない人や強みであると自信を持つことに抵抗がある人におすすめです。たとえば、弱みが優柔不断であることを言い換えると、思慮深い強みがあるということができます。他にも下記の例が挙げられます。
【弱みの言い換え一覧】
- 飽きっぽい→好奇心旺盛
- 単純→素直
- 周りに流されやすい→気配りができる
- 負けず嫌い→向上心がある
- 主体性がない→協調性がある
- 抱え込むタイプ→責任感が強い
- 他人の目を気にし過ぎる→気遣いができる
- 八方美人→チームワークがある
- 人見知り→傾聴力がある
強みと弱みは表裏一体であるため、環境や状況によって一転することがあります。そのため、弱みしかないとネガティブに考えるのではなく、就活の面接では弱みをポジティブに捉えて強みをアピールしていくと良いでしょう。
周りの人に相談する
一番身近な両親や友人、アルバイト先の仲間などに聞いてみると、意外と自分では気が付いていなかった強みを知れる場合があるので相談してみるとよいでしょう。たとえば、「どんなに辛くても笑顔でいる」であれば、無意識におこなっており自分では気が付かない強みであるといえます。
客観的に自分を見ている周囲の人からのアドバイスを参考にすることで、多面的に強みを把握することにつながります。大切なポイントは、周囲の親密な人に確認するということです。付き合いが浅い人だと一部分しか見ていなかったり、社交辞令だったりするため参考にならない可能性があるからです。
効果的にアピールするコツ
就活で強みを伝えるときに、面接官に効果的にアピールするコツは下記の4つです。
①結論から伝える
②具体的なエピソードを伝える
③どのような行動を起こしたのか伝える
④入社後に活かせることを伝える
面接官は就活生の強みを通して、自己理解の深さや自社への適性などを把握したいと考えています。そのため、しっかりと質問の意図を理解し適切な回答をすることで、自分を魅力的にアピールすることができます。ここからは、面接やESでの効果的な伝え方や書き方をそれぞれ解説していきます。
①結論から伝える
強みを効果的にアピールするコツは、最初に結論から伝えることです。「私の強みは〇〇です」と初めに主張することで、就活の面接では誰が聞いても分かりやすく話に入っていきやすい文章を構成することが可能になります。最初に結論を伝えないと、全体を通して何をアピールしたいのか分かりにくく、面接官の評価も下がってしまうといえます。
結論ファーストを意識すると、メインテーマである強みを念頭に置きながら就活生の話を確認することができるため、何をアピールしたいのかが明確で理解しやすくなるということです。
②具体的なエピソードを伝える
自分の強みとしてアピールするのであれば、明確な理由がなければ説得力がなく信憑性に欠けてしまうため、具体的なエピソードをツタましょう。たとえば、「私の強みはチームワークがあることです」と結論を伝えたときに、実際にいつどこでどのような出来事があったのか、何を考えたのかなどを明確にすることが重要です。
過去の経験から導き出した自分の強みには、必ず具体的なエピソードがあるはずです。言葉を裏付けるストーリーが具体的であればあるほど、就活の面接の場ではオリジナリティのある強みとしてアピールすることが可能になり、良い評価につながっていきます。
③どのような行動を起こしたのか伝える
強みを効果的にアピールするコツとして、どのような行動を起こしたのか伝えることが重要です。「私の強みは〇〇です。なぜなら××だからです」と結論と具体的なエピソードを伝えるだけでは不十分です。
上記に加えて、どんな意識でどのような行動を起こしたのかを盛り込むことで、自分だけの強みとしてエピソードを輝かせることができます。
また、行動したことを伝えると、「強みを活かして行動できる人物」「目標を具現化できる人物」など、面接官には好印象を持ってもらえるでしょう。仕事への再現性がある強みであるということを面接官に伝えることができれば、内定へ一歩近づくでしょう。
④入社後に活かせることを伝える
就活の場であるため、仕事に活かせる強みであるのかは重要なポイントになります。そのため、入社後にどのように活かしていけるのかを、企業にどう貢献していけるのか、強みを活用してどんな仕事をしていきたいのか、また、どんな仕事ができるのかなどの将来性を面接官にアピールすることが大切です。
たとえば、「自分の〇〇という強みを活かして××プロジェクトに関わり売上に貢献していきたい」と具体的に書くと好印象です。自社で活躍していけるイメージを面接官に持ってもらえるように、就活の面接では一貫性のある内容で自分の意思を伝えるようにしていきましょう。
効果的にアピールする例文3選
自分の強みが把握できたら、就活の面接の場で面接官が理解しやすい言葉や文章でまとめあげる必要があります。前項の強みを効果的にアピールするコツやこれから解説する就活で自分の強みを効果的にアピールする例文3選を参考にし、自分の魅力が最大限に伝わる内容に仕上げていきましょう。
コミュニケーション力
私の強みはコミュニケーション力です。大学2年生のときに留学したときに、初めは慣れない英語と文化に苦労しましたが、カタコトの英語でも積極的に話しかけたり、さまざまな国籍の人と積極的に関わりを持つようにしたりしました。
持ち前のコミュニケーション力で今では世界中に 200人以上の友人を持つことができ、また、留学前はTOEIC550点だったのが900点まで数字を伸ばす結果につながりました。コミュニケーションを取ることで、知識や経験を増やしていけるということを経験から学びました。
御社に入社後は強みであるコミュニケーション能力を活かして、多くの顧客と積極的に関わり信頼関係を構築していきたいと考えています。
継続力
私の強みは傾聴力です。大学3年生から営業職のインターンをしており、人の話を相手の立場に立って聞くということの大切さを学びました。さまざまな考えの顧客のニーズを理解し、双方が納得いく答えを導き出すためにも、傾聴力は必要不可欠であると考えます。
相手の考え方や本質を理解するために、どんなときでもまずは話を最後までしっかり聞くことを意識して働き続けました、結果として、多くの顧客から「いつも親身に話を聞いてくれるから信頼ができる」「一度伝えたことを忘れないから安心感がある」などお声をいただく機会が増えました。
傾聴力を活かして御社でも、相手の立場に立って考えて最善の提案ができる人材になり貢献していきたいです。
真面目
私の強みは真面目で目標に向けてコツコツと努力ができることです。宅地建物取引士の資格を取得するときに自分の強みが発揮されました。大学の授業、アルバイト、サークル活動をする中で、資格の勉強に当てられる時間は限られていました。そのため、朝と夜に毎日30分ずつ時間を作り、計画的に勉強を進めることにしました。
来る日も来る日も地道に勉強を進め、着実に力を身に付けていきました。結果として試験に1回で合格することができました。真面目である強みを活かして御社に入社後もコツコツと努力することで数字につなげていきたいと考えています。
まとめ
そもそも就活の強みとは何なのか、 企業から強みを聞かれる理由、強みを探す方法、強みを効果的にアピールするコツ、例文などを詳しく解説してきました。
就活で強みとしてアピールできることは、華やかな経歴や実績である必要でなく、自分の過去の経験を洗い出すことで必ず見つけられます。この記事を参考に、就活で強みを魅力的にアピールして内定を勝ち取りましょう。